
歯科医院の多くが予約制を採用していますが、これにはいくつかの理由があります。
まず一番の理由は、患者一人にかかる時間が長いことです。
診察や検査だけでなく、削る・詰める・歯石を取るといった処置もあるので必然的に長くなります。患者を待たせていると歯科医師のプレッシャーにもなり、思わぬ医療事故にもつながりかねません。
当然ですが、症状は患者それぞれで異なります。事前にカルテを確認しておくためにも、十分な時間を確保しておく必要があります。さらに当日の診察で緊急の処置が必要になることもあるので、次の患者を待たせないために予約制となっているのです。
しかも待ち時間が短ければ、患者のストレスや不安も軽減されて、リラックスした状態で診察を受けることができます。またインフォームドコンセントの普及により、説明することや相談することが増えてきたことも理由の一つです。
歯科医は丁寧に分かりやすく説明しますし、患者も聞きたいことは多くあります。しかし後に患者がつかえていると、時間をかけて説明することができませんし、落ち着いて相談することもできません。そのため、予約制を採用しているのです。
そして歯科治療は、数多くの器具を使用します。特殊な器具がたくさんあり、その準備や使用後の滅菌する時間なども考えて予約制となっています。
他にも、義歯や矯正装置といった技工物も大きく関係しています。技工物はすぐに作れるものではありません。患者の歯型や口の写真、作製の指示書などを技工士へ渡し、それに基づいて作っていきます。作製は機械だけではなく手作業の行程もあるので、時間がかかります。予約なしで来院すると、技工物が届いていないこともあります。
そうした事態を避けるために、完成する日を目安に予約を取るのです。ここまでが従来の理由でしたが、昨今では新しい理由も登場してきました。それは、新型コロナウイルスの流行です。
知っての通り、新型コロナウイルスは強い感染力を持っています。もし予約制を採用していなければ、待合室が密になり、感染の危険性が高まってしまいます。感染予防のために様々な場所の消毒も必要となりますし、器具の消毒もこれまで以上にしなければなりません。
当院の滅菌の様子はこちら。
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患者やスタッフの検温にも時間がかかりますし、万が一感染者が出た場合の対処の時間も必要となります。コロナ禍では、時間がいくらあっても足りません。すなわち感染予防の観点からも、予約制は必要であるといえるのです。